【コラム】長野の栄村の山菜


〜おいしい理由は雪にある?〜
長野県、栄村は日本でも有数の豪雪地帯。
そんな豪雪地帯ならではのおいしいもの、それが山菜。雪の多い地域の山菜はえぐみが少なく、そのまま口にしても「おいしい」ものが多い。その美味しさに惹かれて毎年山菜を採りに出かけるようになって何年も経った。

山菜がおいしい理由を地元の母ちゃん父ちゃんに尋ねると、口を揃えて「雪のおかげだ、雪解けの水が美味しくしてくれる」と言う。
雪の何が?と踏み込んでみるものの科学的な根拠はないのだそう。ただおいしい理由にはいくつかの説があげられそうだ。

一つは植物がアクを出す条件にヒントがある。植物のアクが強くなるというのは、身を守る一つの手段とも言える。病気にかからないように、虫に食べられないようにアクを出し強くなる=アクが強くなる。アクが弱いということは植物にとって敵が少ない環境、つまりアクを出して敵を追い払う必要がない環境だ。雪が多い地域は、気候から山菜の敵が少ないとも言えそうだ。

また雪は“雪ざらし”に見られるように着物を白くするのにも使われる。
以下抜粋
雪ざらしは3月下旬の雪解けの時期にしか行うことが出来ない。
降雪が落ち着いてよく晴れた午前中に、雪の上へ織物を晒すのだ。すると、太陽の熱で溶ける雪からオゾン(O3)が発生し自己分解(O3からO2+Oになる)を行う。このときに酸化漂白作用が働くらしい。
午後には布を取り込んで水洗いし、翌日にまた
これを天気と相談しながら一週間ほど行い、「雪さらし」は完了する。
「白越」「白布」とも呼ばれ、宝物として扱われていた越後上布の美しさは、雪によって育まれたのだ。
https://koyanagiyu.com/aboutより
つまり太陽の熱で溶ける雪に由来して漂白作用がある、これは布だけでなく山菜にも言えることかもしれない。雪解けの水が美味しくしてくれるとはこのことなのか?と仮説を立てている。

それともう一つの理由は光合成にヒントがある。中でもわかりやすいのは「蕗の薹(ふきのとう)」、雪の少ない地域の「蕗の薹」は緑色をしているのに対し、栄村のものは黄色い色をしているものが多い。これはアスパラガスと同じで、緑のアスパラガスは太陽の光を受けているのに対し、ホワイトアスパラガスは光を遮るような育ち方をするから白い。つまり黄色いフキノトウは、光の届きにくい雪の下で大きくなるため、黄色だということ。そして太陽を浴び始めたら緑色に変化していく。アクが少ないのは黄色の蕗の薹だ。ウドも土の下の部分は白いけれど、土の上の部分は緑。(野菜は品種改良などで、同様に言えないけれど、、、)

 

雪が美味しい山菜を育てるというのは、明確な根拠はないとはいえ、栄村の人々はその積み上げた経験則から美味しいことをよくご存知だ。

人間が食べやすいように品種改良を重ねてきた野菜とは違い、山菜は手の加えていない自然そのもの。オーガニックという言葉すらふさわしくない力強いものである。山菜のように命として強いものは、人が本来必要なエネルギーを持っている気がする。栄養価やおいしいさだけでは測れないものの価値をもっと見つめていきたい。(by 蓮池陽子 / 「未来食卓会議」オーガナイザー&料理家)

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る